2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホームレス男女の生成過程、社会関係に関するジェンダー分析と自立支援
Project/Area Number |
04J01038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 里美 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホームレス / ジェンダー / 社会福祉 / 福祉国家 / 自立支援 / 抵抗 |
Research Abstract |
近年日本の大都市ではホームレスが増加している。このホームレスには、そのほとんどが単身男性であるという大きな特徴がある。そのためこれまでの研究では、女性ホームレスの存在が見落とされてきた。 『京都社会学年報』所収の論文では、日本の女性ホームレスをとりまく状況について全体的に把握することを目的とした。日本では路上における女性の割合は3%にすぎないが、北米では3割程度である。その要因について、日本では男女の経済的格差が大きい結果、女性世帯の数自体が欧米と比べて少なく、貧困の女性化が顕在化していないという点と、福祉制度が男女で異なり、女性不安定居住者の場合には利用できる福祉制度が男性よりも多様であるということの2点から説明した。そして北米の女性ホームレスに関する研究を参照しながら、今後どのような研究が日本で行われる必要があるかを考察した。 『住総研研究年報』所収の論文では、不安定居住状態にある女性が、どのような福祉制度を利用しどのような支援を受けて安定居住に至るのかについて、東京都を事例に、公的機関と施設、当事者の女性たちに対して行った聞き取り調査の結果から考察した。女性の場合には男性の不安定居住層と異なり、低所得者、ホームレスを対象とした施策に加えて、母子、DV被害者、売春に関わる恐れのある女性を対象とした制度が複雑に組み合わさって不安定居住状態にある女性に対応しており、それぞれの制度の適用基準はかなり恣意的なものであり、さまざまな問題点があることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)