2005 Fiscal Year Annual Research Report
多文化社会における教養教育に関しての理論的考察:教養教育論の日米比較
Project/Area Number |
04J01047
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
中村 夕衣 京都大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | liberal education / 教養教育 / 多文化社会 / 文化 / アラン・ブルーム / リチャード・ローティ / 古典 / アメリカ |
Research Abstract |
1、アラン・ブルームのliberal education論を『アメリカン・マインドの終焉』とその後の数本の論文をもとに考察し、多文化状況、あるいはポストモダン状況といわれる現代の大学において、教養教育の核として「古典」を擁護する、ということの意義や限界などを論じた。 2、昨年度執筆した論文(「『多文化状況』における教養教育論の課題-アメリカの大学における「文化」概念の変遷を手がかりに」)を修正・補足するために、再度「文化」概念の整理を行い、大学における「多文化状況」ということが、単に多様な文化的背景をもつ学生の増加という意味にとどまらず、「文化」という概念の変化とも関連している、という論点を明確にした。*この成果は、『現代社会理論研究』に掲載された。 3、1で考察した内容をもとに、保守派といわれるアラン・ブルームとプラグマティストといわれるリチャード・ローティの両者の教養教育論および大学の歴史観などについて、比較検討を行った。一般にまったく相容れない思想的立場にたつとされる両者の議論を比較検討することにより、同時代の教養教育についての重要な論点はなにか、ということを追及した。*この成果は、教育哲学会において発表した。 4、Kimball, B.A.の枠組み(artes liberales/liberal-free)と、その後のキンバルの研究において提示された「プラグマティックなliberal education」について検討を行い、教養教育の理念について研究する際の方法についての考察を行った。*この成果は、第10回夏季教育セミナーにおいて発表し、今年度の京都大学大学院教育学研究科紀要に掲載予定である。
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Research Products
(2 results)