2005 Fiscal Year Annual Research Report
3軸楕円粒子法シミュレーションの開発と重力流中の多体衝突ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
04J01101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高川 智博 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 実験水路 / シミュレーション / 重力流堆積物 / 堆積速度 / ハンモック状斜交層理 / ベッドフォーム |
Research Abstract |
自然界に見られる重力流は,時間的・空間的に流速が変動する複雑な流れである.このような流れをシミュレートし,流れ内部における堆積物の輸送および堆積作用を明らかにするため,新たに実験水路を開発した.この水路は円筒形の循環型であり,上部のパドルの回転によって流れを発生させるものである.回転パドルの制御により様々な流れを模擬することが可能である.この装置を用いて,重力流に関係した流れによって輸送された堆積物粒子が形成する様々なベッドフォームや堆積構造を,実験的に作り出すことに成功した.特にハンモック状斜交層理を実験的に作り出し,その堆積過程を明らかにしたことは重要な成果である.この構造は,過去の地層からは多数発見されるものの,これまでは実験で作り出すことができず,その堆積過程については未解明の部分が多かった.本研究の実験結果から,この構造が堆積速度に依存して大きく変化することが明らかになった.これは,ベッドフォームの解析やシミュレーションを通じて過去の地質構造から堆積速度を見積もる新しい手段となりうる重要な発見である.堆積速度の推定により,過去の重力流やそれと関連する自然界の流れと,それに伴う堆積物の輸送・堆積過程をより詳細に明らかにすることが可能となる.実験と平行してフィールド調査も行い,大分県杵築市の火砕流堆積物や,和歌山県の中新統田辺層群白浜累層,福岡県漸新統芦屋層群脇田累層,千葉県下部白亜系銚子層群犬吠埼累層などで,重力流やそれに関係した流れで形成された堆積物の構造を観察し,記載および試料採取を行った.また,ネパールのカトマンズ盆地において湖成段丘堆積物のなかから過去に湖の水位が急激に低下したことを示す重力流堆積物を見出し,学術雑誌に報告した.
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Discovery of sediments indicating rapid lake-level fall in the Late Pleistocene Gokarna Formation, Kathmandu Nepal : implication for lake terrace
Author(s)
Sakai T., Takagawa, T., Gajurel, A.P., Tabata, H., Ooi, N., Upreti, B.N.
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Journal Title
Quaternary Research (in press)