2005 Fiscal Year Annual Research Report
大型冷中性子干渉計の開発とそれを使用した物質波と重力相互作用の研究
Project/Area Number |
04J01116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹谷 薫 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子干渉計 / 干渉光学 / 物質波 / 重力相互作用 |
Research Abstract |
重力相互作用に起因する物質波の位相のずれは用いる物質波の波長と干渉計の大きさに比例する。そこで、大型冷中性子干渉計を開発し重力と中性子の相互作用を精密に測定することを目的として研究を進めている。 昨年度にMach-Zehnder型大型冷中性子干渉計の試作機をテストしたものの不十分なコントラストしか得られなかった。そこで製作誤差に起因する干渉計の二経路のずれを磁場勾配と磁気複屈折を用いて補正することを考え、その実証実験を行った。性質の良く知られているJamin型冷中性子干渉計を操作して干渉計の二経路を意図的に60nm平行移動し、干渉縞のコントラストを60%から32%にまで低下させた。その後、Jamin型干渉計の下流に3.6G/cmの磁場勾配を持つ四重極磁石ふたつを500mm離して置くことで二経路を60nm平行移動させることを試みた。すると干渉縞のコントラストを32%から60%まで完全に回復させることに成功した。 本年度は以上の研究をまとめてInternational Symposium on Foundations of Quantum Mechanics in the Light of New Technologyにおいて報告を行った。 さらに磁気複屈折光学系の理解を深めるために一つの四重極磁石に3G/cm程度の磁場勾配を与えた場合に生じるモアレ縞について解析的に解けるモデルを作り、このモデルの妥当性を実験により確認した。有限な発散角を持つビームにおいて発散角よりもはるかに小さな交差角のモアレ縞であっても、中性子スピン干渉法を通じて明るく鮮明な空間縞を観測しうることを明らかにした。モアレ縞の周期とコントラストは中性子ビームの有限な発散角のためにスクリーンまでの距離やビームの幅に依存することもモデルによって理解されるようになった。この結果をInternational Conference on Neutron Scattering 2005において発表した。
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Research Products
(2 results)