2004 Fiscal Year Annual Research Report
荷電粒子・中性粒子・塵粒子を含む電磁流体力学の定式化と原始惑星系円盤の進化の研究
Project/Area Number |
04J01126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
道越 秀吾 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 微惑星形成問題 / ケルビン・ヘルムホルツ不安定 / 乱流 / ダストプラズマ / MHD / 塵粒子 |
Research Abstract |
今年度は、まず、原始惑星系円盤の塵粒子層におけるケルビン・ヘルムホルツ不安定の線形解析を行った。惑星形成の初期の塵粒子で満ちたダスト層の場合、中心星の重力に引かれて沈殿し次第に赤道面上に塵粒子が濃縮し高密度の塵粒子層が形成されると考えられている。この塵粒子層が重力不安定によって分裂し、キロメートルサイズの微惑星ができるのである。しかし、それには、問題点が指摘されている。赤道面上の塵粒子の密度が上昇するにつれて速度シアができる。この速度シアによりケルビン・ヘルムホルツ不安定が起こり乱流になる。乱流状態ではもはや赤道面への塵粒子の沈澱ができず重力不安定が不可能になる。そこで、今年度は、ケルビン・ヘルムホルツ不安定の詳細な線形解析を行った。その結果、塵粒子の大きさが成長した場合、不安定が抑えられるという結論を得た。そして、乱流と沈澱が釣り合いを保ちながら塵粒子の成長を続け、10mサイズで重力不安定が起こるというモデルを与えた。この結果は、現在、Astrophysical Journal誌に投稿中である。 また、このモデルは、乱流の中で塵粒子が成長できるかが重要な点である。そこで、乱流の中で塵粒子はどのような運動をするのかを調べた。乱流の中では、近似的にランダムウォークをする。従って、ランジュバン方程式を用いた確率的な取り扱いが可能である。その結果、乱流状態で回転するガス中の塵粒子の拡散係数、速度分散、速度分布関数の解析的表式を求めることができた。現在、これらの公式の正当性を数値シミュレーションにより検証中である。 来年度は、本研究の目的である磁場の役割について詳細に研究する予定である。
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