2005 Fiscal Year Annual Research Report
風波乱流場における物質移動機構および乱流構造に関する研究
Project/Area Number |
04J01153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹野 賢二 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大気海洋間の物資移動 / 大気海洋間の熱移動 / 乱流 / 風波気液界面 / 吹送距離 / 地球温暖化 / 二酸化炭素 / せん断流 |
Research Abstract |
地球温暖化の正確な予測を行うためには、地球表面の約7割を占める海洋と大気との間での二酸化炭素を始めとする温暖化物質や熱の交換量を正確に評価する必要がある。そのため、物質や熱の移動抵抗を表す物質移動係数や熱伝達係数の海洋での測定はこれまで数多く行われてきた。しかし、それらの測定値には大きなばらつきが見られ、またそれらの測定値を相関することで得られた現在の物質および熱の移動モデルの信頼性は極めて低いのが現状である。そこで本研究では,風波乱流水槽と呼ばれる実験装置を用いた室内実験を通して、気流によるせん断が働く風波気液界面を通しての二酸化炭素と熱の移動量を精度良く測定することで、信頼性の高い大気・海洋間の物質と熱の移動モデルを構築することを目的としている。 本年度は、風が海上を吹いた距離である吹送距離の違いが気液界面を通しての物質や熱の移動にどのような影響を及ぼすかについて調査した。具体的には、風波乱流水槽内の吹送距離の異なる位置において風波気液界面を通しての二酸化炭素および熱の移動量を測定し、それらの値を比較した。また、気液界面を通しての物質移動量を測定するために気流側の界面近傍の乱流シュミット数を測定した。以下に、得られた知見を列記する。 ・吹送距離の違いによって風波の状態が大きく異なるにも関わらず、物質移動係数を風速に対して整理した場合、物質移動係数は吹送距離の違いによらずほぼ同様の分布を示す。 ・物質の場合と同様に、熱伝達係数を風速に対して整理した場合も熱伝達係数は吹送距離の違いによらずほぼ同様の分布を示す。 ・これらの結果は、室内実験で得られた結果を吹送距離の異なる海洋にも適用できる可能性を示唆している。 現在、これらの結果をまとめた論文を執筆中である。
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