2006 Fiscal Year Annual Research Report
風波乱流場における物質移動機構および乱流構造に関する研究
Project/Area Number |
04J01153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹野 賢二 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大気・海洋間の物質移動 / 乱流 / せん断流 / 風波気液界面 / 風波乱流場の相似性 / 地球温暖化 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
地球温暖化の正確な予測を行うためには、地球表面の約7割を占める海洋と大気との間での二酸化炭素を始めとする温暖化物質の交換量を正確に評価する必要がある。そのため、物質の移動速度を表す物質移動係数の海洋での測定はこれまで数多く行われてきた。しかし、それらの測定値には大きなばらつきが見られ、またそれらの測定値を相関することにより得られた現在の物質の移動モデルの信頼性は極めて低いのが現状である。そこで本研究では、風波乱流水槽と呼ばれる実験装置を用いた室内実験を通して、気流によるせん断が働く風波気液界面を通しての二酸化炭素の移動量を精度良く測定することにより、信頼性の高い大気・海洋間の物質の移動モデルを構築することを目的としている。 本年度は、これまでに大型および小型の風波乱流水槽において得られた物質移動係数を比較することにより、大きさが異なる装置において測定された物質移動係数を比較する際に如何なるパラメータを用いるべきかについて検討を行った。さらに、室内実験において得られた物質移動係数を海水に対する物質移動係数へと換算し、それらを海洋において得られた物質移動係数と比較することにより、室内実験より得られた物質移動係数を風波乱流場のスケールが大きく異なる海洋へと適用する際に、如何なるパラメータを用いるべきかについての検討を行った。以下に得られた知見を列記する。 ・大きさの異なる風波水槽において得られた物質移動係数を比較する際には、従来用いられてきた気側の摩擦速度、および海面上10mの高さの風速を用いるのは適切ではなく、気側一様流速を用いるのが適切である。 ・室内実験において得られた物質移動係数を海洋へと適用する際にも、気側の摩擦速度、および海面上10mの高さの風速を用いるのは適切ではなく、外層領域での風速を用いるのが適切である。 これらの結果をまとめた博士論文を執筆し、工学博士の学位を取得するとともに、現在は学術雑誌に論文を投稿中である。
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