2004 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの変形に対する機械的および電気的特性の電子解析
Project/Area Number |
04J01154
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
久島 祥嘉 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カーボンナノチューブ / Tight Binding / 変形 / 電気的特性 / 第一原理 / シリコン / ナノ薄膜 / 理想強度 |
Research Abstract |
Tight-Binding(TB)法を用いてカーボンナノチュブ(CNT)の半径方向圧縮変形シミュレーションを行い,変形に対する機械的および電気的特性の変化を評価した.CNTは半径方向圧縮に対して圧縮荷重は低ひずみではゆるやかに増加するが,ひずみが増加しCNTの側面間の距離がグラフェンシートの層間距離より小さくなるひずみ以降,急激に増加する.低ひずみにおける圧縮荷重は直径の小さいCNTほど高くなり,低ひずみにおける変形抵抗はCNT側面の曲げ剛性によるものであると考えられる.一方,高ひずみにおける荷重の急増はCNTの側面間の反発によるものであると考えられる.また,圧縮荷重を除荷するとCNTは無負荷状態の構造にもどることから,変形は弾性的であることがわかった.解析に用いたCNTは無負荷状態でバンドギャップが存在し,半導体の性質を示すが,変形が加えられるにつれバンドギャップが減少し導体に変化した.バンドギャップが消滅するひずみはCNTの直径によって異なり,電気的特性の変化が直径に依存することがわかった.また,CNTの様な原子構造体の物理特性を理解するためにはCNTの解析のみでは不十分であり,様々な構造体の力学特性および電気的特性を評価し,構造によって体系化する必要があると考えられる.その第一段階として,Siナノ薄膜の第一原理計算を用いた理想強度解析を行ない,膜厚が薄くなるほど単結晶と異なる破壊挙動が現れてくることがわかった.電気的特性に関しては薄膜ではフェルミエネルギー付近に単結晶では見られないバンドが観察され,変形に対しても単結晶と異なる電気的特性の変化を示した.
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Research Products
(2 results)