2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの変形に対する機械的特性および電気的特性の変化の原子解析
Project/Area Number |
04J01154
|
Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
久島 祥嘉 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 第一原理計算 / グラフェンシート / 理想強度 / 銅ナノ薄膜 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)はグラフェンシートを円筒状に丸めた構造を有する中空のナノ構造材料である.その基本的な強度特性を明らかにするために,曲率を持たない2次元のグラフェンシートを対象に面内方向引張り解析を行い,CNTの結果と比較することによりその曲率が強度特性に与える影響について評価した.また,CNTおよびグラフェンシートは共有結合性材料である.結合状態の違いがナノスケールの構造材料の強度特性に与える影響を評価するために,金属結合を有する銅ナノ薄膜に対しても同様の解析を行った.なお,解析には量子力学に基づき原子間相互作用を厳密に求めることができる第一原理計算を用い精密な評価を行った.銅ナノ薄膜は原子層1層のものが最も強度が高く,膜厚が増加するとともに強度は低下し単結晶のものに近づく.これは,薄膜では原子層どうしを結合するために電子が使用され,層内の電子が減少し層内の結合が弱まるためである.一方,グラフェンシートは原子層1層のものと原子層を層状に重ねたものとで強度特性に大きな違いは見られない.これは,グラフェンシートの層内原子間結合が共有結合であり最近接原子間に局在しているのに対し,層内の結合はファンデルワールス力という非常に弱い結合であるため,層間の結合が層内の結合に与える影響が小さいためである.また,グラフェンシート一層の引張り強度はCNTのそれと大きな違いはなく,破壊形態もほぼ等しいことから,CNTの強度に与える曲率の影響は小さい.
|
Research Products
(1 results)