2004 Fiscal Year Annual Research Report
N-混乱ポルフィリン多量体を基盤とする、物質・情報伝達システムの構築
Project/Area Number |
04J01186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森本 樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / ポルフィリン類縁体 / N-混乱ポルフィリン / 自己二量化 / 配位子交換反応 / ヘテロ二核二量化錯体 / 無摂動系 / 完全無置換N-混乱ポルフィリン |
Research Abstract |
ポルフィリンが機能性色素として多方面で用いられている一方で、その類縁体の合成・物性に関する研究も近年盛んに行われている。その類縁体の中で、N-混乱ポルフィリン(NCP)は、ポルフィリンと同様の構造でありながら、一つのピロール環が「混乱」していることにより、他の類縁体には見られない独特な性質を有することが明らかになりつつある。 NCPと12族金属イオン(Zn, Cd, Hg)との錯化を試みたところ、環内部に金属カチオンを配位し、かつ、環外周部窒素がまた別のNCP分子の金属部分に配位することで、自己二量化錯体を形成することがX線構造解析などにより明らかとなった。(Inorg. Chem.2004)。さらに、この二量化錯体をNMRにより詳細に検討した結果、二量化錯体はその単量体部分を交換し、容易にヘテロ二核二量化錯体が生成することがわかった。この二量体形成および交換反応は、新規な情報分子素子や金属イオン捕捉・輸送分子としての応用が可能である。 このようなNCP特有の諸物性をその無摂動系で検討するために、いまだ合成例のない完全無置換型NCP(NC-ポルフィン)の合成を検討した。様々な合成ルートを試行した結果、混乱部分の窒素に保護基を導入した混乱トリピランを用いる[3+1]型の縮合反応を用いることで、環外周部窒素を保護したNC-ポルフィンの合成・単離ができることを見いだした。さらに、tert-butyl基で保護したNC-ポルフィンを硫酸で処理することで、完全無置換型NCPが得られることがわかった。その紫外可視吸収スペクトルは、メゾアリール基を有するNCPとは異なる吸収極大・形状を示し、メゾアリール基がNCP骨格の電子構造に大きく影響していることが示唆され、また、Zn (II)と錯化挙動も異なり、溶液中において、自己二量化錯体のみならず、自己三量化錯体の形成がNMRにより確認された。
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Research Products
(2 results)