2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二重膜をテンプレートとする7回膜貫通型受容体の精密有機合成
Project/Area Number |
04J01189
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 聡 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 7回膜貫通型受容体 / Native Chemical Ligation / 膜蛋白質 / リポソーム / 光感受性保護基 |
Research Abstract |
7回膜貫通型受容体をはじめとする膜タンパク質は膜貫通領域に起因するペプチドフラグメントの難溶解性が障害となるため、水溶性タンパク質の化学合成法とは異なる方法論の開発が必要である。本年度は複数回膜貫通型ペプチドの一般的な合成法の確立を目的として、脂質二重膜上におけるNative Chemical Ligation法の検討を行った。具体的には7回膜貫通型受容体であるCXCR4ケモカイン受容体の膜貫通領域を有する一連の1回膜貫通ペプチドを合成し、隣接する膜貫通領域を有する二つの1回膜貫通ペプチドをリポソームに挿入し、ligation反応を行った。その結果ligation部位のアミノ酸に関わらず、高収率で目的の2回膜貫通型ペプチドの合成を行うことができた。本手法は既に膜蛋白質の化学合成に適用のあるSDSを用いる手法に比較して化学収率の点で優れていることが明らかとなった。 さらに高分子量の複数回膜貫通型タンパク質の化学合成には上記のNative Chemical Ligationを連続して行う必要があり、適当なペプチドC末端システインの保護基が必要である。そこで、脱保護プロトコルの簡便さとone-potでの続くLigation反応を実現しうる光感受性保護基に着目した。既存の光感受性保護基は、脱保護速度や脱保護後にペプチド反応性の生成物が伴うこと等の問題点が存在した。そこで4-Dimethylamino phenacyl基をベースにした独自の光感受性保護基を開発した。この保護基はペプチドN末端システインの保護基として適切なプロファイルを有し、モデルペプチドにおいてligation反応をone-potで連続して行うtandem ligationを行うことに成功した。今後は本保護基を利用して脂質二重膜上でのtandem ligationの検討を行う。
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Research Products
(1 results)