2004 Fiscal Year Annual Research Report
呈色型機能性ホスト分子の開発と水中における分子認識への展開
Project/Area Number |
04J01193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷間 大輔 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 呈色型分子認識 / カチオン認識 / 無色錯体 / 温度依存性呈色挙動 |
Research Abstract |
当研究室で開発された機能性フェノールフタレインを用いて、(1)アルカリ金属との温度変化に伴う呈色挙動、及び(2)β-aminoalcoholの不斉呈色識別、の2テーマについて機能の評価・検討を行った。 (1)フェノールフタレイン型ホストに関してこれまで想定していた目に見える呈色錯体以外に、相反する挙動を示す目に見えない錯体が存在する可能性がある事は判っていた。ナトリウムとカリウムに対しては温度可変IR測定を行い2種類の錯体が存在している事を確認した。リチウムに対しては錯体の結晶化に成功し、IR測定により「無色錯体」の存在が示唆された。この無色錯体の存在が機能性フェノールフタレインにユニークかつ複雑な性質を付与しているといえる。一方、Mole ratio plotにより、アルカリ金属に対する呈色錯体は1:2の化学量論である事が示唆された。またUV及びNMR測定、マイクロカロリメトリーによる会合定数、熱力学パラメータの決定を試みたが残念ながら解析不可能であった。 (2)フェノールフタレイン型ホストが呈色識別可能なゲスト分子はこれまでジアミン構造が必須であったが、高濃度ではモノアミンでも強く呈色し得る事を見出した。そこで、フェニル基を導入した光学活性ホストを合成し機能を精査した結果、アミノ酸を還元して得られるβ-aminoalcoholに対しては低温において高い不斉認識能を有している事が判り、R/S指示薬としての応用も期待できる。さらに極めて興味深い事に、温度変化に伴う呈色挙動を検討した結果、R体とS体で温度に依存して呈色が逆転するという類を見ない現象を見出した。一方、Job's plot測定により呈色錯体に関しては1:3である事が示唆されたものの、1:2の化学量論である無色錯体が少なからず存在し会合定数等の解析は不可能であった。
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