2006 Fiscal Year Annual Research Report
呈色型機能性ホスト分子の開発と水中における分子認識への展開
Project/Area Number |
04J01193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷間 大輔 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 呈色型分子認識 / 水素結合駆動 / 無色錯体 / スペルミジン・スペルミン / ガン診断薬 |
Research Abstract |
当研究室で開発された機能性フェノールフタレインを用い、『直接的ポリアミン検出による簡便なガン診断検査薬の開発』に向けた応用研究に取り組んだ。 ポリアミンとはアミノ基を2つ以上持つ炭化水素化合物を包括的に指し、生体内ポリアミンとしてスペルミジン、スペルミン、プトレッシン、カダベリンが知られている。スペルミジン及びスペルミンはいずれもガン細胞において濃度が上昇しているため、腫瘍マーカーとして利用されている。しかし、実際に臨床で用いられている測定法は操作が煩雑である、誘導体化が必要であるという欠点があり、直接的かつ簡便なポリアミン検出試薬の開発が望まれている。 このような状況の中、当研究室ではフェノールフタレインを基本骨格とし、認識部位にクラウンエーテルを組み込んだ呈色型ホスト分子が開発されている。今回、本ホスト分子がスペルミジン及びスペルミンを含むアミン類をゲスト分子として呈色を示すことを見出した。ポリアミンをゲスト分子として用い呈色識別した例は本研究以外に報告がなく本ホスト分子の有用性が大いに期待できたが、診断検査薬として応用化を図るには大幅な感度向上が要求された。そこで、高感度な呈色を示すホスト分子の探索研究に取り組んだ結果、イソベンゾフラノン環上にジメチルアミノ基を持つホスト分子の創製に至った。これは、従来の類縁体に比してポリアミンに対する呈色感度が劇的に向上していた。次いで、本ホスト分子を用いポリアミン4種と生理活性アミン4種を合わせ、メタノール中でスクリーニングした結果、本研究の標的であるスペルミジン及びスペルミンのみが強く呈色することが判った。本研究により、簡便なガンの診断検査薬を開発するための端緒となる重要な知見を得た。
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Research Products
(2 results)