2006 Fiscal Year Annual Research Report
強固なσ炭素骨格で被覆されたオリゴチオフェンの合成と物性探索
Project/Area Number |
04J01199
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 大輔 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テトラチアフルバレン / ラジカルカチオン / ジカチオン / X線結晶構造解析 / 分子間相互作用 / 紫外可視近赤外吸収スペクトル / 理論計算 / ESR |
Research Abstract |
ビシクロ[2.2.2]オクテンが縮環したTTF1はビシクロ[2.2.2]オクテノンから5段階の反応を経て合成した。 X線結晶構造解析の結果から、TTF1は完全な平面構造ではなくわずかに湾曲し、BCO骨格の立体障害を避けるように階段状に分子がパッキングしていることがわかった。TTF1は、CH_2Cl_2中でSbCl_5によって容易に二電子酸化されてジカチオン2となり、2・Sb_2Cl_8^<2->塩として単離された。また、2はCH_3CN中でEt_4N^+I^-によって還元することによりラジカルカチオン3を与え、3・I_3^-塩として単離された。 X線結晶構造解析の結果、ジカチオン2は6π芳香族性の1,3-ジチオリウム環が二面角24,6度でねじれた構造をとり、一方、ラジカルカチオン3は平面構造をとることがわかった。また両者ともπ系の間の距離は大きく離れており、分子間のπ-π相互作用はほとんどないことが確認された。 ラジカルカチオン3のCH_2Cl_2およびCH_3CN中における温度可変UV-vis NIR測定を行ったところ、顕著なサーモクロミズムは観測されず、π-ダイマーの生成は起こっていないことが明らかとなった。しかし、TTF1とそのラジカルカチオン塩3・I_3^-の1:1混合溶液(CH_2Cl_2)では、低温にするにつれて吸収強度の減少および新たな吸収が観測され、中性分子とラジカルカチオンとの相互作用の存在が明らかとなった。これは直交型に相互作用していることを示唆している。
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Research Products
(1 results)