2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J01212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉永 直子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オートラジオグラフィー / 放射性同位体炭素 / 脂肪酸代謝 / アンモニア解毒 |
Research Abstract |
1)植物の防御反応を誘導する鱗翅目昆虫エリシターの生合成と代謝 食害を受けたトウモロコシやワタは、幼虫唾液中に含まれるvolicitinを受容して様々な揮発成分を放出し、天敵である寄生蜂に宿主探索の手掛かりを与える。幼虫自身に不利に働く化合物volicitinの幼虫体内における役割を探るため、その生合成メカニズムの全体像を放射性同位体を用いて検討した。^<14>C-グルタミン及び^<14>C-リノレン酸を与えたハスモンヨトウ幼虫の断面を経時的にオートラジオグラフィーで解析し、グルタミンはほぼ全量が30分以内に腸管から吸収されるのに対し、リノレン酸は食後2時間近く経ってから一部が吸収されることを明らかにした。また、リノレン酸は吸収とほぼ同時にvolicitinに取り込まれ始めたが、グルタミンは吸収後6時間経ってもvolicitinに取り込まれなかった。このことから、volicitinは脂肪酸代謝に何らかの関係があると考え、リノレン酸の代謝とvolicitinの生合成・代謝経路の概要を明らかにした。その結果、腸管内リノレン酸量を上回るvolicitin類縁体が生合成され、腸管に分泌後、加水分解され再びリノレン酸部位は体内に吸収されるとの、全く新しい脂肪酸代謝経路を発見した。 2)ハスモンヨトウにおけるvolicitin生合成と窒素代謝 4種の鱗翅目昆虫から同定したvolicitin類縁体が全てグルタミン縮合物であったことから、グルタミンの代謝とvolicitinの関係に注目した。^<15>N-塩化アンモニウムを用いた摂食実験から、グルタミンが有毒なアンモニアの同化によって合成され、そのグルタミンがvolicitinに取り込まれること、また、アンモニアの添加によって幼虫体内のvolicitin量が増加することを明らかにした。Volicitinがアンモニア解毒にも何らかの寄与をしていると考えられる。
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Research Products
(1 results)