2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J01212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉永 直子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鱗翅目昆虫 / 誘導抵抗性 / エリシター / volicitin / バイオフォトン |
Research Abstract |
1)トウモロコシに揮発成分を放出させる鱗翅目昆虫由来エリシターの生合成 食害された植物は、鱗翅目昆虫幼虫の唾液に含まれるvolicitin [N-(17-hydroxylinolenoyl)-L-glutamine]を受容し、揮発成分を放出することで天敵の寄生蜂に手がかりを与える。幼虫が何故volicitinをもつのかを明らかにする目的で、ハスモンヨトウにおけるvolicitin生合成機構を検討した。終齢幼虫から取り出した腸管組織を用いて、volicitinのin vitro生合成を確認した。さらに中腸細胞から調整したミクロソーム画分を用いた場合でも前駆体の合成が見られたことから、腸管細胞に存在する幼虫由来酵素によって前駆体物質が生合成されることを明らかにした。従来の腸内共生細菌生合成説とは全く異なるモデルが提唱された。また、この幼虫由来酵素のグルタミンに対する基質特異性を確認した。幼虫体内におけるグルタミン分布の詳細な分析を行った結果、幼虫腸管内では大部分のグルタミンがvolicitin類縁体として存在することを明らかにした。以上から、volicitinは積極的に合成され、幼虫体内のグルタミン代謝に重要な役割を持つことが示唆された。 2)鱗翅目昆虫に食害されたトウモロコシが放出する生物微弱発光(バイオフォトン) オオタバコガ幼虫に食害されたトゥモロコシからフォトンが放出されることを発見した。植物は病原菌の侵入に対して発光することが知られており、フォトンは植物の抵抗反応に何らかの関係があると考えられている。本研究では、食害に対するトウモロコシのフォトン発光メカニズムの解明を試みた。人工的な機械傷で発光は見られず、機械傷に幼虫唾液を処理することで発光が再現された。熱処理した唾液でも活性があることから、酵素ではなく唾液虫の低分子エリシターが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)