2006 Fiscal Year Annual Research Report
発生・生体維持における膜蛋白質メルトリンβ/ADAM19のリガンド産生機構の解明
Project/Area Number |
04J01256
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
横関 智一 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ADAM19 / Meltrin beta / Neuregulin / shedding / glial growth factor / aria / golgi apparatus / ADAM17 |
Research Abstract |
メルトリンβは、受精や発生、様々な疾病への関与が知られるADAMファミリーに属するプロテアーゼである。申請者は、膜型グリア増殖因子の切断制御におけるメルトリンβの役割に関して以下の研究を行った。 メルトリンβは初代培養神経細胞において、ゴルジ装置とその周辺に局在した。そこで蛍光相関分光法を利用し、メルトリンβが基質であるグリア増殖因子をゴルジ装置で切断することを、生きた細胞で捉えることを試みた。COS7細胞にメルトリンβとグリア増殖因子を共発現させ蛍光相関分光測定を行うと、ゴルジ装置でのグリア増殖因子の切断が観察され、それに対しプロテアーゼ活性を失った点変異体(EQ変異体)では、ゴルジ装置における切断が抑制される結果を得た。この結果は細胞内の逆行性膜輸送阻害薬(Bafilomycin A1)を用いても確認された。さらに、神経芽細胞およびCOS7細胞にメルトリンβとグリア増殖因子を共発現させ、密度勾配超遠心法によってゴルジ及び小胞体画分の成分の分離を行うと、確かにゴルジ画分にて基質が切断され、EQ変異体ではゴルジ画分における切断が抑制された。グリア増殖因子を切断するもう一つのプロテアーゼADAM17の欠損細胞でもメルトリンβによる基質切断はゴルジ画分で見られ、さらにADAM17はメルトリンβよりも軽い膜画分で基質を切断することが示唆された。以上から、メルトリンβはADAM17と時間的空間的に異なるリガンド産生制御に関与すると考えられた。癌細胞や再生過程では種々の膜型増殖因子の過剰発現や活性化が知られており、医療に繋がる有用な知見が得られたと考えられる
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Research Products
(1 results)