2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンの排卵受精促進におけるケモカインの役割に関する研究
Project/Area Number |
04J01259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹波 茂郎 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロスタグランジン / ケモカイン / 排卵 / 受精 / 卵丘細胞 / EP2受容体 / EP4受容体 / ゴナドトロピン |
Research Abstract |
(1)野生型およびEP2欠損マウスの卵・卵丘細胞における網羅的遺伝子発現解析 EP2受容体欠損マウスは受精障害を示すが、野生型の卵胞内でEP2受容体は卵丘細胞に発現誘導を受けることから、卵丘の機能不全によって卵成熟障害に陥る可能性が示唆されていた。そこで研究代表者は、EP2欠損マウスの卵管より採取した卵の遺伝子発現を網羅的に解析したところ、タンパク質や核酸などの基本代謝に関わる遺伝子発現が顕著に減少していたことから、EP2欠損で見られた受精障害は卵の変性によるものと考えられた。一方、卵丘細胞の遺伝子発現を解析したところ、ケモカインなどの炎症関連遺伝子の発現亢進を認めた。 卵丘細胞でのケモカイン遺伝子の発現を経時的に調べたところ、ゴナドトロピン処理後3,9時間では野生型、EP2欠損型ともにケモカイン遺伝子発現はほとんど見られないが、排卵後の14時間では野生1型でも発現誘導が見られること、EP2欠損ではこの発現誘導が顕著に亢進していることが判った。 (2)卵丘機能に対するケモカインの影響 EP2欠損マウスの卵丘では、野生型に比べてcumulus expansionと呼ばれる膨潤が不完全であることが示されていた。そこで研究代表者は、in vitroにおいてゴナドトロピン刺激によるexpansionがケモカインにより影響されるかどうかを調べた。その結果、ケモカインはゴナドトロピンによるexpansionを約60%阻害し、この阻害はケモカイン受容体拮抗薬で消失した。以上のことから、ケモカインは、ケモカイン受容体を介して卵丘機能を負に制御していることが示された。
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