2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂質微粒子を利用した脂質膜構造-タンパク活性相関の定量的評価
Project/Area Number |
04J01261
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
加茂 倫有 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パッキングストレス / キュボソーム / リポソーム / キュービック相 / ラメラ相 / 時間分割蛍光異方性 |
Research Abstract |
【目的】生体膜は二分子膜構造(ラメラ相)を形成しているが、負の曲率を有する脂質の存在により膜の自発曲率と実際の曲率には差が生じており、膜中にはパッキングストレスが発生している。タンパクの膜上での構造や活性に影響を与えると考えられているパッキングストレスについての知見を得るために以下の実験を行った。 【実験】既に液晶構造が明らかになっている卵黄レシチン(EPC,ラメラ相形成脂質)とモノオレイン(MO,キュービック相形成脂質)の混合脂質系を用いて、蛍光プローブDPH propionic acid(DPH-PA)を導入した種々の脂質組成よりなる分散微粒子リポソーム(ラメラ相モデル粒子)およびキュボソーム(キュービック相モデル粒子)を調製した。それぞれの粒子について時間分割蛍光異方性の測定を行い、wobble-in-coneモデルを用いた解析によりDPH-PAの揺動角および揺動拡散係数を算出した。 【結果】DPH-PAの揺動角はパッキングストレスの変化に対応した変化を示した。リポソーム(ラメラ相)中においてはMOの割合の増加、すなわちパッキングストレスの増加により揺動角が減少した。キュボソーム(キュービック相)中では揺動角が増加し、ラメラ相からキュービック相へと転移することで膜に蓄積されたストレスは解消されることが実証された。また、揺動拡散係数はリポソームにおいてはMOの割合に依存せず一定であること、キュボソーム中ではリポソーム中の値よりも大きいことも判明した。 以上のように脂質分散微粒子リポソームおよびキュボソームを用いることで脂質膜の蛍光異方性測定が可能となり、膜のパッキングストレスの変化を蛍光法により評価できることが明らかにされた。
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