2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境・行動情報に基づくウミガメ混獲メカニズムの解明:持続可能な漁業へのアプローチ
Project/Area Number |
04J01289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 十也 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウミガメ / 混獲 / 行動追跡 / GPS / 潜水行動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ウミガメ類の行動と漁業を含む海洋環境との関係を理解からウミガメ類の混獲回避策を提案することである。モデルケースとしてアンダマン海とタイ湾に生息するアオウミガメを中心に研究を行う。そのための方法として、直接観察が困難を極めるウミガメ類の行動を、生物装着型記録計や衛星発信機を利用して記録する。平成16年度は、新しく開発した測器を用いたウミガメの行動追跡手法の確立を中心に研究を進めた。 ウミガメ類の海中での行動を三次元で理解するために、地磁気加速度記録計を開発した。平成16年5月からタイ国シミラン諸島で野外調査を実施して、産卵期中のアオウミガメ雌成体に記録計を装着することに成功した。得られたデータから、アオウミガメの方位・姿勢を算出することで、アオウミガメの海中での行動を3次元で再現することに成功した。結果は、Proceedings of 4th SEASTAR2000 Workshopに掲載された。今後の展望として、アオウミガメの潜水行動には様々なパターンがみられるが、方位・姿勢データから各潜水パターンが有する役割を理解できると予想された。 ウミガメ類の回遊行動を高精度で追跡するために、GPSアルゴス発信機を開発した。極軌道衛星を利用した位置測位システム(アルゴスシステム)は、動物の行動を追跡する手法として広く利用されている。しかし、測位データは100-4000mの誤差を持っているため、小さなスケールで動物の行動パターンを理解することができない。そこで、高精度で位置情報を取得できる全地球測位システム(GPS)に着目し、GPS受信機を搭載したアルゴス送信機(GPSアルゴス)を開発した。飼育条件下と自然条件下で実証実験を行い、タイマイおよびアオウミガメの行動を高精度で追跡することに成功した。得られた結果はZoological Scienceに採録が決定している。
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Research Products
(3 results)