2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境・行動情報に基づくウミガメ混獲メカニズムの解明:持続可能な漁業へのアプローチ
Project/Area Number |
04J01289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 十也 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウミガメ / Chelonia mydas / 混獲 / 繁殖季節性 / 繁殖生態 / バイオロギング |
Research Abstract |
本研究の目的は、ウミガメ類の行動と漁業を含む海洋環境との関係を正確に記述することでウミガメ類の混獲回避策を提案することである。モデルケースとして東南アジア海域に生息するアオウミガメChelonia mydasを対象とする。本研究では、目的を達成するための方法として、砂浜での産卵調査と、記録計や発信機を利用したバイオロギング手法による行動調査を行う。 タイ国の主要なアオウミガメ産卵場であるフーヨン島において産卵調査を行った。調査の主な目的は、アオウミガメの繁殖季節性メカニズムについて理解することである。前肢付け根に金属標識とマイクロチップを装着することで個体識別を行った。通常、アオウミガメの産卵期は砂浜の砂中温度によって支配されているが、フーヨン島は温度が通年安定いるため通年産卵が見られる。このような温度制約から解放された個体が、何を指標として産卵期を決定しているかは明らかではない。本研究の標識調査により、個体の産卵期は温度制約から解放されても大きく変化しないことが明らかになり、個体の産卵期はカレンダーを指標にしていることが示唆された。この研究結果は、Journal of Zoologyに掲載受理された。 フーヨン島で産卵するアオウミガメの海洋における潜水深度・経験水温をデータロガーを用いて記録した。アオウミガメのメス成体は、1シーズンに産卵を約5回繰り返す。産卵と次回産卵との間隔は約10日である。データロガーを装着したアオウミガメは、この期間の多くを20m以下の浅い潜水を繰り返していたが、時折50mを越える深い潜水も行うことが明らかになった。フーヨン島周辺海域の地形から、この期間中のアオウミガメはリーフエッジを生息場所としていることが示唆された。また、今後の課題として、加速度データロガーなどを利用して潜水行動の機能を解析する必要がでてきた。この結果は、Proceedings of International Symposium on SEASTAR2000 and Bio-logging Scienceに掲載された。
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Research Products
(2 results)