2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J01306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 健太郎 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スパイン / シナプス / カテニン / カドヘリン / 神経細胞 / RNAi / アクチン結合タンパク / 上皮細胞 |
Research Abstract |
α-カテニンを過剰発現した神経細胞のシナプスは過剰に安定化することをこれまでに示している.この現象の分子機構を探るため,α-カテニンに結合し,シナプスにおける細胞間接着を安定化する分子を探索した.抗α-カテニン抗体を用いてマウス脳の可溶画分に対して免疫沈降を行い,得られた沈降物をSDS-PAGEにより展開,銀染色を行うと,これまでに結合することが知られている分子の他に,これまでに報告されていない分子量のバンドが存在した.このバンドを切り取り,質量分析を行った結果,既知のアクチン結合タンパクであることが判明した.この新規α-カテニン結合分子に対する抗体を作成し,初代培養した海馬神経細胞を免疫染色したところ,スパインおよび一部の軸策に局在することを観察した.また,この分子の発現ベクターを作成し,神経細胞に導入したところ,導入量の多い細胞ではスパインの著しい長さの増大が観察され,導入量の少ない細胞では,スパインの肥大が観察された.また,この分子は様々な上皮細胞株においても発現しており,細胞辺縁および細胞間接着部位に局在することが観察された.上皮細胞に発現ベクターを導入して過剰発現させると,細胞の著しい変形を引き起こした.逆に,上皮細胞でRNAi法によりこの分子のノックダウンを行うと,細胞間接着が弱まり,細胞が扁平になることを観察した.また,ある種の癌細胞ではこの新規α-カテニン結合分子を発現していないが,この細胞に新規α-カテニン結合分子を発現させると,細胞接着が増強されることを観察した.これらのことから,今回得られた新規α-カテニン結合分子がアクチン骨格の安定性を制御することによりカドヘリン接着の安定性を制御している可能性を示唆した.
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Research Products
(1 results)