2005 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt2bによる網膜幹細胞の維持に関わる分子のスクリーニングと機能解析
Project/Area Number |
04J01307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 郁 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 網膜 / 幹細胞 / Wntシグナル / スクリーニング |
Research Abstract |
様々な組織特異的な幹細胞は、増殖能・多分化能を持っており、他の分化した細胞種とは大きく異なった特徴をもつ。これまでの研究から、網膜幹細胞はWntシグナルによって未分化な状態に維持されていることが示唆されている。Wntシグナル経路では、転写因子TCF/LEFによって、その標的遺伝子の発現が誘導されることから、実際に網膜幹細胞の維持に関わるのはこれら標的遺伝子であると考えられる。そこで網膜幹細胞を維持する分子機構を理解するために、私はWntシグナル経路の下流で働く分子をスクリーニング・同定し、その機能を解析することにした。 私はまず、網膜細胞のsingle cell PCR法を用いて、網膜組織内の単一細胞で発現するcDNAを96サンプル得た。この中から、Wntシグナルに反応している細胞を、すでにWntシグナルの赤流で発現が誘導されることが知られている遺伝子LEF1の発現を指標として選び出し、サブトラクション法を用いて、この細胞で特異的に発現する候補遺伝子を選出した。得られた候補遺伝子の発現パターンをin situ hybridizationによって調べたところ、網膜幹細胞が存在する領域に特異的荷発現する遺伝子が複数得られた。これら候補遺伝子の中には、すでにWntシグナルの下流で働くことが報告されているConnexin 43が含まれていたことから、このスクリーニング方法の有効性が示唆された。 得られた候補遺伝子のうちの一つは、bHLHドメインを持つ転写因子をコードしていた。この遺伝子を、ニワトリ胚網膜に過剰発現したところ、分化した神経細胞の数が顕著に減少していた。この結果より、この転写因子が網膜において神経への分化を抑制する活性を持つことが示唆された。現在、この転写因子の機能および、Wntシグナル経路との関連を調べている。
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Research Products
(1 results)