2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケテニルラジカルの分子内求核捕捉による複素環構築法の開発
Project/Area Number |
04J01386
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Research Fellow |
戸治野 真美 大阪府立大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | α,β-不飽和アシルラジカル / 一酸化炭素 / endo環化 / イミン / オキサゾリン / ラクタム / (R)-(-)-coniine |
Research Abstract |
複素環化学の発展に伴い、機能発現が期待される化合物の合成を指向した新しい複素環構築法の開発が求められている。本研究では、含窒素複素環化合物であるラクタム環骨格の新規な構築法に着目した。特に、ラジカル種を用いる一酸化炭素の導入法の潜在性を活用し、中間体として生成するα,β-不飽和型のアシルラジカル種の求電子性を利用した新規なラクタム環化合物の合成手法を開発することを目的とした。 本研究では、アシルラジカルによる分子内イミンC-N二重結合に対するendo型の環化反応について検討を行った。実際に、一酸化炭素加圧下、トリブチルスズヒドリドをラジカルメディエータとするラジカル反応を行った。その結果、系中でα,β-不飽和型のアシルラジカルが生成し、これより、6員環ラクタムが良好な収率で得られた。また、出発基質として、オキサゾリン部位を持つアルキンを用いて、6-endo型環化反応を行ったところ、同様に、オキサゾリンの窒素上での環化が起こり、双環性ラクタムが良い収率で得られた。一般にexo型のラジカル環化反応の例が数多く報告されているのに対して、endo型が選択的に進行するラジカル環化の報告例は少ない。本研究で見出したこれらの反応例では、6-endo型環化の駆動力としてイミン窒素やオキサゾリン窒素とアシルラジカルのカルボニル炭素との極性相互作用の関与が示唆される。 さらに、本反応を天然アルカロイド(R)-(-)-coniineの形式合成に適用することに成功した。
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