2005 Fiscal Year Annual Research Report
事故・故障時にパイロットの操縦を支援する飛行制御系の構築
Project/Area Number |
04J01398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 恵理 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パイロット / 自動操縦 / 協調制御 / HACM architecture / エラートレラント / ヒューマンエラー / PIO / カルマンフィルタ |
Research Abstract |
欧米や日本でも、次世代航空輸送システムの実現に向け、飛行経路の決定・管理を行う高度な自動化技術の研究・開発が現在進行中である。しかし、パイロットが操縦のループに含まれる場合、航空機を与えられた飛行経路に誘導する技術は確立されていない。そこで本研究は、本来ヒューマンエラーはなくすことができないというエラートレラントの思想に基づき、ヒューマンエラーが直接事故に繋がることを防ぐためにパイロットと自動操縦装置(自動制御系)の協調制御システムの開発を行った。 具体的には、パイロットのヒューマンエラー、または自動操縦装置の不適切な操縦が航空機事故に繋がることを防ぐ協調制御システム:Human As a Control Module architecture(HACM architecture)を提案した。協調制御システムの基本アルゴリズムは4つの過程から構成される。1)パイロットと自動操縦装置が航空機に同時に与える制御入力と与えられた飛行経路を感知する。2)2つの制御入力がそれぞれ航空機に与えられた場合の航空機の運動を予測する。3)予測した航空機の運動と与えられた飛行経路間の誤差を計算する。4)誤差の値に応じてそれぞれの制御入力に重み付けして調節し、航空機に与える制御入力を生成する。以上の4つの機能を持つ協調制御システムを導入し、パイロットまたは自動操縦装置が不適切な操縦を行った場合、その入力を操縦のループから外すことにより、航空機を与えられた飛行経路に安全に追随させる技術に関する研究を実施した。HACM architectureの有効性を確認するため、航空機の縦運動に提案機構を適用し、フライトシュミレータ実験を実施した。その結果、提案機構を利用すると、PIO(Pilot Induced Oscillation)が引き起こされた場合や自動操縦装置が不適切に作動した場合(急なピッチ上げ等)等においても有効であることが確認されている。また、HACM architectureに大気の擾乱と航空機のダイナミクスの同時推定をオンラインで行うカルマンフィルタを実装しある程度の推定誤差が含まれる情報を利用した場合において、ロバスト性が確認されている。
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Research Products
(6 results)