2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル-ゲル法で作製した酸化物ゲル膜の温水処理によるナノ微結晶生成とその構造制御
Project/Area Number |
04J01409
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 奈緒子 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / 酸化物 / 薄膜 / 温水処理 / 反射防止 / 構造制御 / アルミナ / 層状複水酸化物 |
Research Abstract |
本年度は、ゾル-ゲル法で作製した多孔質アルミナ薄膜を温水処理することによって得られる花弁状アルミナ薄膜の新しい特性の一つとして反射防止(AR)特性を検討するとともに、薄膜の多成分化による薄膜の表面構造の変化を調べた。 多孔質アルミナ薄膜を温水処理することで、擬ベーマイト結晶が析出し表面に数十ナノオーダーの凹凸が形成されていくに従って透過率が増大し、広い波長領域において花弁状アルミナ薄膜のAR効果が得られた。これは、微細な凹凸構造の効果によって、優れた反射防止技術として知られるMoth-eye構造のように、空気層から基板方向に向かって平均屈折率が連続的に変化するためであると考えられる。また、花弁状アルミナ層と基板との間に存在する多孔質アルミナ層がより連続的な屈折率変化に重要であることがわかった。温水処理前の膜厚、温水処理時間、温水処理温度を制御することでソーダライムガラス基板、石英ガラス基板などの種々のガラス基板に加え、高分子基板の低反射化に成功し、石英ガラス基板については、220〜720nmの非常に広い波長領域において0.2%以下の反射率が達成された。 一方、Al_2O_3-SiO_2、Al_2O_3-TiO_2、Al_2O_3-ZnO系薄膜を温水処理することで薄膜の表面構造の変化を調べた。温水処理後の薄膜の表面構造は膜の組成によって変化し、その生成速度はAl_2O_3単成分に比べ小さくなった。また、Al_2O_3-SiO_2系では特に大きい花弁状組織が得られた。Al_2O_3-ZnO系においては、ZnO、Al_2O_3各々の単成分では析出しない六角板状の微結晶が析出し、この微結晶はZn-Al系層状複水酸化物(LDH)であることが明らかになった。LDHは、一般に共沈法などによって合成するため生成物は粉末となるが、本研究ではLDHを薄膜で作製することに成功した。
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