2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルーゲル法で作製した酸化物ゲル膜の温水処理によるナノ微結晶生成とその構造制御
Project/Area Number |
04J01409
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 奈緒子 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ゾル-ゲル法 / 酸化物 / 薄膜 / 温水処理 / 反射防止 / 構造制御 / アルミナ / 層状複水酸化物 |
Research Abstract |
本年度は、ゾル-ゲル法で作製したAl_2O_3-ZnO系薄膜を温水処理することによって薄膜表面に析出する六角板状のZn-Al系層状複水酸化物(LDH)結晶の生成機構を調べるとともに、層間に種々のアニオンがインターカレートしたLDH薄膜の作製について検討した。 LDHは、一般に共沈法などによって合成するため生成物は粉末となるが、本研究ではゾル-ゲル法で作製したアモルファス薄膜を温水に浸漬することで、層間に炭酸イオンがインターカレートしたLDH薄膜を得られる。本研究において、LDH微結晶はアモルファス薄膜よりAl成分とZn成分が溶解し、再析出することによって生成すると考えられる。また、温水処理の温度を添加させることで結晶サイズの小さいLDHが密に析出した可視光領域における透過率が80%以上の透明なLDH薄膜を得ることに成功した。 一方、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムやベンゼンカルボン酸類を添加した蒸留水を用いて温水処理を行うと、炭酸イオンがインターカレートしたLDHのものよりも広い層間距離が観測され添加したアニオンがインターカレートしたLDH薄膜が得られた。添加アニオンの濃度によって、添加アニオンがインターカレートしたLDHとともに、炭酸イオンがインターカレートしたLDHが析出した。また、添加アニオンの種類や濃度によってLDH層間への取り込みやすさは異なり、鎖状のドデシル硫酸イオンや2価のベンゼンカルボン酸であるテレフタル酸イオンはLDH層間に速やかに取り込まれるのに対し、1価のベンゼンカルボン酸である安息香酸イオンや、ベンゼン環を持つp-トルエンスルホン酸イオンはLDH層間に取り込まれにくいことがわかった。
|