2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J01501
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青柳 かおり 早稲田大学, 文学部, 特別研究員PD
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Keywords | イングランド国教会 / 教会改革 / 主教 / 福音普及協会 / 北アメリカ植民地 / トマス・セッカー |
Research Abstract |
本研究では、政教分離がすすんだ18世紀後半において、イングランド国教会がどのような活動を行なっていたのかを検討し、国教会の重要性を明らかにすることを目的としている。従来、18世紀の国教会は次第に衰退していたと考えられがちであるが、聖職者たちの活動や、海外布教といった運動に注目し国教会の意義を示す論文作成をめざしている。 18世紀の国教会に関しては、イギリスにおいてようやく近年、評価の見直しがすすんでいるが、日本ではあまり研究されていないため、イギリス、アメリカにおける今までの研究書・論文を収集し研究を整理する作業をすすめている。国教会の活動の題材としては、まず、高位聖職者の教会改革、つまり教区での巡察、説教、教理問答、牧師や教区民への教育などの活動を挙げることができよう。特に、カンタベリ大主教トマス・セッカー(在任1758-68年)は教区巡察記録、自伝、著作集など豊富な一次史料がある。今年度はこのような聖職者の史料を中心に収集した。今後も、教会改革に重要な役割を果たした聖職者の活動を、貴族院での議会活動も加えて検討していく。 第二に、海外、特に北アメリカ植民地への布教がある。伝道が本格化するのは19世紀であるが、18世紀後半、アメリカ融立革命をのりこえて国教会は存続した。イギリス本国ではセッカーをはじめ何人かの主教がアメリカ主教派遣を提唱しており、アメリカでも派遣を要望していた。しかし、アメリカには非国教徒宗派が多数存在していた上に、本国とアメリカは対立が深まり、布教活動も困難になった。本研究ではまだ日本で研究がほとんどなされていない独立革命期の布教活動を扱って、二次文献、聖職者による一次史料の収集、解読を行った。 また、本研究の特徴として、映像も用いることにしており、イギリスでの国教会の史跡、教会などをデジタル・カメラで撮影した。また、大英図書館において史料収集を行った。
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Research Products
(1 results)