2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J01501
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青柳 かおり 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | イングランド国教会 / 福音普及協会 / アメリカ植民地 / アメリカ革命 |
Research Abstract |
本研究では、政教分離がすすんだ18世紀後半において、イングランド国教会がどのような活動を行なっていたのかを検討し、国教会の重要性を明らかにすることを目的としている。従来、18世紀の国教会は次第に衰退していたと考えられがちであるが、福音普及協会が派遣した聖職者たちの海外布教や、主教の政治的活動に注目し国教会の意義を示す論文を作成する。 日本、イギリス、アメリカにおける18世紀国教会とアメリカ植民地の関係についての研究をふまえ、夏休みにロンドンで主要な主教や政治家の著作、書簡、福音普及協会のパンフレットなどの一次史料を収集し、目を通した。本研究は18世紀イングランド国教会の意義を植民地への布教活動を通して明らかにすることであるが、主に3つの論点がある。 1)イギリス領アメリカ植民地での宗教状況および、日本の西洋史分野においてもほとんど研究されていない福音普及協会の活動を明らかにすること。2)17世紀から18世紀半ばまでの福音普及協会の活動と、布教に消極的なイギリスによる対アメリカ宗教政策の違いを示し、国家的支援のない中で国教会が活動した意義を明らかにすること。3)アメリカ独立革命期における本国国教会と在米国教徒の関系を検討すること。愛国派と王党派という分裂、戦争状況の中で、本国支配と結びつく国教会はアメリカでどのような教会となったのかを明らかにする。 1、2点目は、昨年9月に「北アメリカ植民地におけるイングランド国教会-アメリカ主教派遣をめぐる論争を中心に-」キリスト教史学会第56回大会で、3点目は昨年12月に「イングランド国教会とアメリカ独立」歴史学会第30回大会において、口頭発表した。これらのテーマで現在論文を執筆中である。
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