2005 Fiscal Year Annual Research Report
所有者支配型企業と経営者支配型企業のガバナンスに関する比較研究
Project/Area Number |
04J01528
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齋藤 卓爾 早稲田大学, 商学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 日本企業 / 一族企業 |
Research Abstract |
上場企業の中で一族企業は特殊な存在である。一族企業では創業者、創業者の子孫など多くの株式を保有している者が、経営も行っている。すなわち、所有と経営が分離していないのである。また、一族企業で世襲も頻繁に観察される。昨今、このような一族企業が途上国だけでなく、米国などの先進国でも多く観察されることが報告されている(Anderson and Reeb,2003;Faccio and Lang,2002)。まず本研究では日本の上場企業における一族企業の状況をあきらかにした。その結果は、日本においても上場企業の約40%において創業者一族が最大株主であるかもしくは経営を担っていたい。また、約25%において創業者一族が最大株主であり、経営を担っているというものであった。それらの企業のパフォーマンス(トービンのQ)を非一族企業と比較した結果は以下のようなものであった。創業者によって経営されている一族企業は非一族企業を上回るパフォーマンスを達成している一方で、創業者の子孫によって経営されている企業では創業者一族が最大株主ではない企業は非一族企業を上回るパフォーマンスを達成していたが、創業者一族が最大株主である企業と非一族企業の間には統計的に有意な差はみられなかった。しかし、一族企業の内生性を考慮して分析を行った結果は創業者の子孫が最大株主であり、子孫が経営している企業のパフォーマンスは非一族企業よりも劣るというものであった。これらの結果は創業者はその希有な能力で企業の業績に貢献しているものの、創業者の子孫の代になると所有と経営の一致というコーポレート・ガバナンス上の問題が起こっていることを示唆している。
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Research Products
(1 results)