2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタンナノクラスターの光触媒反応メカニズムに関する理論的研究
Project/Area Number |
04J01602
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Research Institution | Waseda University |
Research Fellow |
今村 穣 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 時間依存密度汎関数理論 / 交換相関汎関数 / 内殻励起 / 価電子励起 |
Research Abstract |
時間依存密度汎関数法(TDDFT)は莫大な計算コストを必要とせず定量的な結果を与えることから、近年、価電子励起状態の計算に盛んに用いられている。一方、内殻励起状態に関しては、これまで体系的な研究は行われていない。本研究において、さまざまな汎関数を用いて内殻励起状態の計算精度に関して検討を行った。H, C, N, O,などの原子を含む5つの分子に対して計算を行ったところ、Local Density Approximation(LDA),Becke-Lee-Yang-Parr (BLYP)などの汎関数では内殻励起エネルギーを10eV以上過少評価することがわかった。Local Density Approximation(LDA)のポテンシャルにLeeuwen-Baerends(LB94)ポテンシャル補正を考慮することにより、精度の向上が確認された。しかし、LDA+LB94は価電子励起の記述が良くないことが以前の研究によって明らかになっている。これらの結果を踏まえ、内殻、価電子励起の記述の向上を目指した新しい交換相関汎関数の提案を行った。価電子、内殻の領域に、それぞれBLYP汎関数とLDA+LB94汎関数を用いる汎関数を構築した。この汎関数は、5つの分子の内殻励起状態計算において、1eV程度の誤差で内殻励起エネルギーの実験値を再現することがわかった。また、価電子励起、Rydberg励起も精度良く実験値を再現することが確認された。今後、この汎関数を用いて酸化チタンクラスターなどの励起状態の計算を行う予定である。
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