2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタンナノクラスターの光触媒反応メカニズムに関する理論的研究
Project/Area Number |
04J01602
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Research Institution | Waseda University |
Research Fellow |
今村 穣 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | エネルギー密度解析 / Pseudospectral法 / 基底関数依存性 / 空間分割関数 |
Research Abstract |
酸化チタンナノクラスターなどの大規模系に対する密度汎関数法(DFT)計算が、計算機の発展やOrderN法の開発により可能となり、盛んに行われている。それに対し、得られた莫大な計算結果を解析する手法についてはあまり研究が行われていない。当研究室では、系全体のエネルギーを構成原子に分割するエネルギー密度解析(EDA)を開発してきた。今までエネルギー移動の議論などを通して大きな成果を挙げてきた。このEDAではグリッドに基づく分割と、Mulliken population analysis (MPA)と類似の分割を併用している。MPAによる分割部分は基底関数依存性が大きく、結果としてEDA全体も大きく依存するという欠点を持つ。この欠点を克服するために、Beckeの空間分割関数を用いたエネルギー密度解析(Grid-EDA)の開発を行った。このアプローチでは、2電子積分を精度良く見積もることが難しく定量性に欠けることが報告されていた。本研究では、解析積分と数値積分を組み合わせる(Pseudospectral (PS)法)ことで、今までの誤差を劇的に減らし、定量性の向上に成功した。このGrid-EDAでは、水分子やリチウムクラスターなどで基底関数依存性を実際に低いことが示された。今後、この分割手法を励起状態に関しても拡張を行う予定である。このGrid-EDAを酸化チタンクラスターに適用し、水の分子状、原子状吸着における表面の安定性や光励起によるクラスターへの影響などの議論を行う予定である。
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Research Products
(2 results)