2005 Fiscal Year Annual Research Report
12世紀から13世紀における南宋沿海地域の海船戸の研究
Project/Area Number |
04J01653
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
深澤 貴行 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中国 / 沿海地域 / 地域社会 / 水軍 |
Research Abstract |
本研究課題は南宋に海外貿易・海運の担い手となった沿海地域における海船戸の実像の解明を目的とする。第二年度となる今年度は、研究書、史料の収集の他、研究指導委託による中国での研究活動を実施し、また日本の東北、九州両地方、台湾などへ、それぞれ研究調査に赴き、研究交流や実地見分を行った。 前年度に中国浙江省へ調査と研究交流を実施したが、現地での研究の必要性を感じ、2005年9月より同省浙江大学に研究指導委託を行い、研究を進めた。 また上記の研究成果を公表するために論文を公表した。南宋代、沿海地域における水軍将官を対象として考察し、当該地域における水軍、海賊、商人たちとがどのように関係を持っていたのかということを扱ったものであり、『中国-社会と文化』第20号に掲載された。論文では、南宋では一部を除いて水軍将官は官位を持たないあるいは低位の武階に留まるものだったが、沿海地域社会では官の末端に存在し、また民に直接繋がる社会階層であったとした。また彼らの存在は交易管理、秩序維持など沿海地域社会にさまざまな影響を与えており、水軍将官と水軍寨の存在は、南宋の沿海地域社会史を考える際の一要素として、また地域性を表すものとして看過すべきでないと結論付けた。 そのほか、2005年11月に日本の九州において現地の研究者と学術交流し、また現地調査を行った。さらに2006年2月に台湾へ赴き宋代史研究者による研究会に参加し、また資料調査、収集を行った。
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Research Products
(1 results)