Research Abstract |
Co/Pd多層膜と軟磁性下地層からなる垂直二層磁気記録媒体の特性改善手法として,Co/Pd多層膜直下への中間層付与の検討を行った. i)スパッタ法により作製されるPd/Si複合中間層の薄膜化 中間層には記録再生特性の観点からできる限り薄いことが望まれる.これまでに,Pd(5nm)/Si(5nm)複合中間層を提案し,スパッタ作製条件の最適化によりCo/Pd多層膜中に形成される磁区サイズを低減することに成功している.本年度はPd/siシード層の更なる薄膜化を目的として,Pd/Si層の膜構成の最適化を行った.その結果,Pd/Si膜厚比が約4:1の組成にすることで,Co/Pd多層膜の保磁力の増大、,交換相互作用の低減が達成されることがわかり,微細な磁区サイズを保ちながら,その膜厚を4nmまで低減させ,記録再生特性の改善を達成した. ii)電気化学的手法によるPd中間層の形成 通常の中間層作製はi)のようにスパッタ法を用いて行われるが,研究者はこれまでに電気化学的反応を用いた中間層作製について検討を行っている.Co合金軟磁性下地層をPdCl_2溶液に浸漬させることで,CoとPdの酸化還元電位の差異に起因した置換反応を下地層表面で進行させた.結果として,8-9nm程度の島状Pd核を形成するに至った.このPd核上にCo/Pd膜を形成することにより,Co/Pd多層粒子の微細化,孤立が進行し,磁区サイズの低減,記録再生時の媒体ノイズの低減を達成した.本年度は,このPd作製プロセスにSnCl_2溶液による基板前処理を加えることでPd核の微細化,高密度化を達成し,Co/Pd多層粒子径の低減,記録再生特性の改善が達成された.さらに,同プロセスを無電解析出法で作製したCoNiFeB軟磁性下地層にも適用し,下地表面ラフネスの顕著な増大を招くことなく,Pd核を高密度に形成させるプロセスを開発した.
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