2005 Fiscal Year Annual Research Report
多層人工格子薄膜を用いた次世代型磁気記録媒体の記録再生特性改善に関する研究
Project/Area Number |
04J01690
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川治 純 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 垂直磁気記録 / 磁気記録媒体 / Co / Pd多層人工格子膜 / 電気化学的手法 / 中間層 / 微細金属シード / 軟磁性下地層 / 記録再生特性 |
Research Abstract |
現行の垂直磁気記録媒体は,磁気記録層と軟磁性下地層,それらの中間に位置するシード層からなる.シード層には,磁気記録層の磁性粒子の微細化・孤立を促進すること,記録再生特性の観点からできる限り薄いこと,が望まれる.前年度,新規シード層の作製手法として,「電気化学的置換析出反応を使用した軟磁性下地層表面のPdナノクラスタ形成」を提案した.同手法では,軟磁性下地層上に一様に分散した数nmサイズのPdクラスタを得ることができ,その上にスパッタ成膜されるCo/Pd多層膜の物理的孤立,それによる磁区サイズの低減を達成するに至った.しかし,媒体表面ラフネスが増大することや磁性粒子の微細化が不十分であることが課題となっていた.本年度は,Pd析出プロセスの条件探索を行い,これら課題を解決することを試みた.Pd溶液浸漬前にSnイオンを含む溶液にスパッタ形成CoZrNb軟磁性下地層を浸漬し,前処理を施すことで,その後に形成されるPdクラスタサイズが従来の10nmから6nm程度まで低減し,その核密度も増大させることに成功した.この化学的前処理により最適化されたPdクラスタをCo/Pd多層膜のシード層とすることで,Co/Pd多層粒子の微細化(16nm→10nm),ならびに媒体表面ラフネスの低減を達成した.さらに,媒体内での磁気特性の分散を抑制することも可能となった.最適条件のSn処理を施した媒体とPd処理のみの媒体の記録再生特性を比較したところ,Sn処理を施すことで信号/媒体ノイズ比が6dB以上改善することを見出した.さらに,本手法を無電解析出法にて作製したCoNiFeB軟磁性下地層にも適用し,溶液処理条件を最適化することで,スパッタ形成CoZrNb下地層の場合と同様に微細なPd核が高分散した比較的平滑な軟磁性下地層表面を得るに至った.以上の結果は,量産性に優れた湿式法(電気化学的手法)による「軟磁性下地層-中間層の一括形成プロセス」の可能性を示したといえる.
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Research Products
(3 results)