2004 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト新王国時代におけるコア・ガラスの製作地同定と地域間交流に関する研究
Project/Area Number |
04J01715
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Research Institution | University of Tsukuba |
Research Fellow |
池田 和美 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 古代エジプト / コア・ガラス / 前2千年紀 / アマルナ遺跡 / グラーブ遺跡 / 第18王朝時代 / マルカタ遺跡 / リシュト遺跡 |
Research Abstract |
ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵するマルカタ遺跡およびリシュト遺跡出土のコア・ガラス器の現地資料調査を行った。約500点の遺物を「ファイルメーカー」というソフトを用いてデータベース化した。 ロンドンの大英博物館とピートリ博物館に所蔵されている、古代エジプト第18王朝時代の遺跡であるアマルナ及びグラーブ出土コア・ガラスの資料調査から、文様の様式および施文方法などの比較を行って、両遺跡のガラス工房で製作されたガラス器の特徴を整理した。これらの特徴から、出土地が不明なガラス器の製作地を、アマルナ遺跡とグラーブ遺跡のガラス工房に関しては推定することが可能となる。この成果を国際ガラス史学会誌("AIHV")に纏めた。 東京の中近東文化センターに所蔵されているコア・ガラスの研究を、様式と組成の面から行った。同館所蔵ガラス器は全て、出土地が不明である。そこで、上記したアマルナ遺跡及びグラーブ遺跡のガラス工房で製作されたガラス器の特徴や、マルカタ遺跡とリシュト遺跡から出土したガラス器のデータ・ベースをもとに、同館所蔵ガラス器の様式を整理し、製作年代と製作地の推定を行った。また、高エネルギー放射光蛍光X線分析とX線回折の分析結果から、化学組成によるコア・ガラスの特性化と、着色剤及び乳濁剤の同定を行った。これらの成果を日本ガラス工芸学会誌『Glass』に纏めた。 ピートリ博物館に所蔵されている、アマルナ遺跡ガラス工房址出土のガラス滓のうち、製造技術の痕跡を有するものを特に重点的に観察し、ガラス自体の製造及びガラス製品の製作工程や、製造の際に用いた道具類などの復元研究を行った。この成果を筑波大学歴史・人類学系誌『先史学・考古学研究』に纏めた。
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Research Products
(4 results)