2004 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオン二次電池の更なる高性能化に向けた新規負極材料の開発と評価
Project/Area Number |
04J01753
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
向坊 仁美 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 負極 / Ni / Sn / 充放電に伴う構造変化 / 充放電に伴う形態変化 |
Research Abstract |
過去の検討で電析Sn_<62>Ni_<38>合金薄膜が現行の負極材料より約2倍高いエネルギー密度を有することが示唆された.本年度は本研究費を用いて購入した電極部材等を用いSn_<62>Ni_<38>の充放電に伴う構造や形態の変化について基礎的な検討を行った. Ex-stiu XRD測定により充放電時の構造の変化について検討した結果,初期充電時にLi^+を挿入すると初期のNi_3Sn_4合金相の結晶規則性が失われ,新たにLi-Sn合金相が現われることが示唆された.続く放電時におけるLi^+の脱離の過程ではLi-Sn合金相の低減,およびNi_3Sn_4合金相の結晶性の復元が示唆された.更に充放電を繰り返した後も上記の反応が繰り返されていることが確認され,Li^+とSn_<62>Ni_<38>合金が可逆的に反応していることが示唆された.このような可逆的な固相内反応がSn_<62>Ni_<38>の高いエネルギー密度につながっていると考えられ,新規負極材料の設計指針の一つになる非常に有用な知見が得られた. Ex-situ SEM観察よりSn_<62>Ni_<38>の表面形態は充電時に大きく隆起し,盛り上がる状態になる様子が確認された.続く放電時では一度膨張した電極が収縮する様子が確認されたが,元の状態には戻らず,約1μm幅のクラックを有し,数nm程度の穴が三次元的にあいた多孔状態になることが確認された.多孔構造の電極は内部への電解液の含浸性が高く,速い深さ方向へのLi^+拡散が期待される.これよりSn_<62>Ni_<38>合金負極が高速充放電に耐える機能も併せ持っている可能性が示唆された. 本研究経費を用いて行った上記研究結果により,Sn_<62>Ni_<38>とLi^+との反応に伴う構造・形態の状態が負極特性に大きな影響を及ぼすことが明らかになり,今後はこの影響をより詳細に評価することで複合的な問題点を素要素に分解し,解決策を見出すことが不可欠であることが示唆出来た.
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Research Products
(2 results)