2005 Fiscal Year Annual Research Report
昭和戦前期の農村における地域振興の自律的展開-農村経済更生運動を通して-
Project/Area Number |
04J01760
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Research Institution | National Institute for Rural Engineering |
Principal Investigator |
森尾 晴香 独立行政法人農業工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 農村経済更正運動 / 地域振興 / くらし / 地域住民 / リサイクル |
Research Abstract |
本研究は昭和初期の農村経済更生運動を地域振興事業として捉えなおし、近代日本における地域振興の自律的展開のメカニズムを解明することを目的としている。今年度は分析対象を大正期まで広げ、調査対象地である群馬県勢多郡北橘村の中でも特に同村大字下南室・真壁を中心とし、さらに北橘村範囲において江戸時代より名主をつとめた今井善兵衛家文書などの収集・整理・解読、聞き取り調査に取り組みながら昭和戦前期の暮らしを復元した。また、群馬県立図書館の上毛新聞マイクロソフトを活用し、当時の関連記事の収集と分析をおこなった。いずれも資料の数は膨大であった。来年度はより精緻かつ具体的な分析を進めていきたい。今年度は主に、以下の3点を考察した。 (1)更生運動期間中、全国の優良・優秀更生村は、互いに訪村したり、通信を送付するなどして情報収集を盛んに行い、地域振興に関するアイディアを交換しながら、更生事業を継続した。北橘村には昭和9年度に約1000人以上の見学者が訪れている。 (2)農村女性は共同で植生する屋敷内の庭木を、食用だけではなく染色とし、裂織した反物の色をかえてリサイクルなどしながら、暮らしの質を高めた。同地域に生殖していた植物の特定と利用方法を、聞き取り調査を通して解明した。 (3)更生村当時の村長である今井善兵衛は、長男であり郷土士家である善一郎とともに、更生事業に多額な寄付をし、論理構築をしながら村内を束ね、他村・群馬県・農林省との親交を深めた。
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