2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホール候補天体における状態遷移と時間変動の大局的3次元磁気流体数値実験
Project/Area Number |
04J01907
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Research Fellow |
中村 真美 (町田 真美) 国立天文台, 理論研究部, 特別研究員PD
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Keywords | 降着円盤 / 磁気流体数値実験 / 状態遷移 / 準周期振動 |
Research Abstract |
ブラックホール候補天体で観測される様々な時間スケール変動の起源を明らかにする事を目的として3次元磁気流体数値実験を行った。特に、状態遷移時に観測される事がある準周期振動の成因を調べた。その結果、降着円場際内縁付近でのガス温度が移流優勢円盤で推定される温度より低い10^<10>K程度の場合には、角運動量輸送率が小さくなり中心から4-10γ_s(γ_sはシュパルツシルト半径)に角運動量一定のトーラスが形成される事がわかった。このトーラス内部において、磁気回転不安定性による磁場増幅が生じる。この時、トーラスはPapaloizou-Pringle不安定性によりドーナツ形から三日月形に変形する。増幅された磁場の磁気圧がガス圧と同程度になると磁気リコネクションが生じトーラス内部に溜った磁気エネルギーを放出するとともにウィンドを噴出する。この時三日月形に歪んだトーラスは元のドーナツ形に戻る。磁気エネルギーの蓄積・解放の間隔はトーラスが最大圧力となる半径の回転周期の10倍程度であり、これは、方位角方向磁場のみから始めた場合の磁気回転不安定性の成長の時間スケールに相当する。中心付近のガス温度が10^<11>K以上の場合にも間欠的な磁気エネルギーの解放とそれに伴うウィンドはあるが、角運動量一定のトーラスは形成されず、また磁気エネルギー解放の周期は揺らぐ。トーラス形成されて周期的な磁気エネルギー解放が生じる時にのみ高振動数の準周期振動が励起される事もわかった。
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Research Products
(6 results)