2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代移行期トランシルヴァニアにおける多文化社会の再編:民族・宗教・日常性の範疇
Project/Area Number |
04J01951
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
秋山 晋吾 明治学院大学, 国際学部, 日本学術振興会特別研究員
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Keywords | トランシルヴァニア / 18世紀史 / ギリシャ・カトリック / ハプスブルク / 民衆騒擾 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き、研究目的である1760年代トランシルヴァニア西部山岳地帯で発生したカトリックと正教の教会合同への反対運動・再改宗運動に関するハンガリーにおける文書館史料の調査および収集を中心に、研究作業を遂行した。ハンガリー国立中央文書館所蔵の資料群のマイクロフィルム化を継続して行った。前年度に引き続き、トランシルヴァニア財務省直轄領史料(MOL F234)のほか、トランシルヴァニア侯国庁文書(Erdelyi Kancellaria Acta Generalia)の1758-1762年部分を中心にマイクロフィルム複写を行い、これらの解読、整理を現在進めている。 作業は、文書館史料を用いた、騒擾の再構成、地域の社会構造分析を進めているほか、教会合同と騒擾がその再編を促し促進したトランシルヴァニアの17世紀から18世紀にかけての国制、特にその「ナティオ」の概念と編成についての整理を進めている。 具体的には、本年度、ともに17世紀末に発布され、19世紀までのトランシルヴァニア国制を規定した勅令、および、教会合同を公式に開始した勅令の翻訳と解題を発表した。これらの作業を通じて、トランシルヴァニアの三ナティオ体制および四公認宗派体制の概要を明らかにするとともに、17世紀末のハプスブルク宗主権の容認に伴うこれらの体制の再構築が含む問題圏を整理した。これらの作業を踏まえて、本研究の中心である騒擾がトランシルヴァニア国制に与えた意味を明らかにする前提を用意した。
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Research Products
(2 results)