2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J02148
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Research Institution | Tottori University |
Research Fellow |
經遠 智一 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 血液幹細胞 / 破骨細胞 / B細胞 / 胚性(ES)細胞 / 骨髄 / 髄外造血 / ストロマ細胞 / 大理石骨病 |
Research Abstract |
血液細胞系譜分化完全欠損Tal1遺伝子破壊胚性幹(ES)細胞からの血液細胞分化誘導: 転写因子Tal-1は中胚葉系細胞から血液幹細胞への分化過程で重要であると考えられるが、その詳細は不明な点が多い。そこで、ES細胞からの破骨細胞分化過程を血液分化経路のひとつのモデルとして、Tal-1と他の転写因子との関連を検討するためTal1遺伝子破壊ES細胞株からテトラサイクリンでPU.1の発現が制御できる細胞株を作成した。人為的にPU.1の発現を誘導すると、効率は野生型に比べ1/10程度であるが、骨再吸収能をもつ成熟破骨細胞が出現し、マクロファージ様の貪食細胞も誘導できた。それ以外のB細胞、顆粒球、赤血球、巨核球などの細胞系譜は全く出現しなかった。またFlk-1陽性中胚葉系細胞がPU.1の人為的発現によって破骨細胞へと分化できる能力を有することを明らかにした。このことより転写因子Tal-1は血液細胞のマスター遺伝子と考えられていたが破骨細胞にとってはPU.1の発現を誘導するだけの機能でよいことを示唆した。[Stem Cells,2005,23(1):134-143] 以上の実験結果をもとに、血液細胞の分化と転写因子に関する新しい知見を総説として発表する予定である。[Current Topics in Biochemical Research,2006 (in press)] アスコルビン酸は骨を作る骨芽細胞の分化に重要であることは報告されているが、骨を溶かす破骨細胞の分化に与える影響は明らかでない。そこで、アスコルビン酸の破骨細胞の全分化過程に与える影響を検討するためES細胞のみから破骨細胞を誘導する培養法を確立し、その効果を検討した。アスコルビン酸非添加群に比べ添加群で破骨細胞が効率よく誘導され、その効果は破骨細胞前駆細胞数に及んでいた。さらに、ES細胞からFlk-1陽性の中胚葉系細胞誘導効率の上昇に原因を見出した。したがってアスコルビン酸は破骨細胞側へも影響を及ぼし、その影響は発生初期の段階にも及んでいることを示唆し、論文として発表した。[Biochem Biophys Res Commun,2005,335:1239-1246]
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Research Products
(3 results)