2005 Fiscal Year Annual Research Report
不確実状況下におけるマルチエージェントの合意形成メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
04J02164
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 宏充 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マルチエージェントシステム / 動的環境 / 非線形効用 / 議論に基づく交渉 |
Research Abstract |
本研究では,不確実性を含む環境の一形態として,効用空間の形状が複雑であり,エージェントが正確に自身の効用を表明できないケースについて,新たに注目し,効果的な交渉メカニズムの開発を試みた.具体的に,本研究では,複数の論点を含む交渉問題,すなわち多論点交渉問題にフォーカスする.より一般性の高い問題において,複数の論点は相互依存関係にあり,複雑な非線形の効用関数をとる場合が多い.そのため,エージェント自身が高効用の解を把握することが難しく,また求解のプロセスにおいても,線形の効用関数を仮定した既存の手法は不十分である.本研究では,エージェントによる,効用空間のサンプリングに基づく提案の生成手法を開発し,大規模な効用空間から効用の増加が期待できる提案の生成を可能にした.また,オークションメカニズムに基づく解の決定手法を開発し,社会的効用の最大化を可能にする手法として提案した.非線形の効用空間において,提案プロトコルが既存手法を凌ぐ性能を持つ事を示すと共に,提案プロトコルを,誘因両立な性質を持つプロトコルとして理論的に拡張可能である事を示し,本提案手法によって得られる解が社会的にも好ましいものとなる点を主張している.本提案手法は,スケーラビリティに関して理論的な限界があることが既に分かっているため,提案手法の改良を進めている段階である. 前年度から進めている,ベイジアンネットワークに基づく知識処理機構の開発に関連し,海外訪問先での活動を通して,基本的な議論(argument)の交換プロトコルを開発し,また複数のソフトウェアエージェント間での交渉を行う上で考慮すべき意思決定ポリシーを明らかにしている.現在,理論の一般化のための定式化を進めると同時に,プロトコルの改良を進めている.
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