2005 Fiscal Year Annual Research Report
動的不斉を利用した新型不斉配位子の開発:回転軸の制御と新規不斉反応場の創製
Project/Area Number |
04J02184
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
福澄 岳雄 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オルガノキャタリスト / 有機触媒 / キナアルカロイド / キニン / スルホキシド / スルフィン酸エステル / プロトンスポンジ / 不斉 |
Research Abstract |
次年度の研究計画に従い,不斉配位子を用いた新規触媒反応の探索を行った。その結果,cinchona alkaloidとsulfinyl chlorideを用いたエナンチオ選択的sulfinate合成法を開発できた。すなわち,hydroquinine acetate (HQA)とp-toluenesulfinyl chlorideを塩化メチレン中,-90℃で攪拌し,N-sulfinylammonium saltを調製した後にtert-BuOHを加えると,対応するtert-butyl 4-methylbenzenesulfinateが93%,96%eeで(R)体が得られることがわかった。さらにquinidine acetate(QDA)を用いれば,逆の立体である(S)体が88%,86%eeで得られることがわかった。本法の適応範囲は広く,様々な種類のsulfinatesの両エナンチオマーを最高99%eeで合成できることがわかった。さらにtert-butyl sulfinyl chloride, isopropyl sulfinyl chlorideを用いる場合はquinidine 1-naphthoate(QDN)もしくはquinine 1-naphthoate(QNN)が最適な触媒であることがわかり,9-fluorenolと反応させることで対応するsulfinateの両エナンチオマーを最高94%eeで合成できた。さらにProton Spongeを添加することで,本反応の触媒化を達成できた。詳細な反応機構の解析を行った結果,反応活性種はcinchona alkaloidのN-sulfinylammonium saltであり,選択性の発現機構はdynamic kinetic resolutionであると考えている。
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