2004 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの一次元性を用いたナノレベル反応制御〜新規ナノ反応場の構築
Project/Area Number |
04J02212
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Research Institution | Meijo University |
Research Fellow |
湯村 尚史 名城大学, 理工学部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 密度汎関数法 / 量子サイズ効果 / 端の効果 / カーボンナノチューブ / 透過型電子顕微鏡 / 共鳴ラマン分光法 / 量子化学 / 反応中間体 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ内部でのフラーレン融合反応における反応中間体及び反応過程の詳細を密度汎関数法を用い理論的に考察した。上記反応過程における反応中間体として、端がフラーレンキャップで終端された有限長チューブ状物質アームチェア(5,5)チューブおよびジグザグ(9,0)チューブが考えられる。これら有限長チューブ状物質の電子的特性は、端のキャップ構造に大きく変化するものと考えられる。従って電子特性における端の効果を考察するため、端を水素終端したチューブ状物質についても同様の考察を行った。その結果、アームチェア型ナノチューブの円筒部分の構造は,含有するポリイン鎖の数に関して3の周期性で変化した.さらにそのHOMO-LUMOギャップは無限長チューブのものよりも大きく、チューブが長くなるにつれ周期的に減少することが明らかとなった。これら特異な現象は量子サイズ効果によるものと考えられる。また端にキャップがあることによって有限長チューブ状物質の構造、電子特性が大きく変化することも明らかとなった。さらに上記の結果を透過型電子顕微鏡および共鳴ラマン分光法により得られる実験的結果とあわせることによりフラーレン融合反応における知見を得た。実際、透過型電子顕微鏡から得られるチューブ状物質のチューブ長は、理論的に得られるジグザグ型チューブのそれに相当することが明らかとなり、共鳴ラマン分光法においてもそれを裏付ける実験結果を得ている。従って量子化学計算及び実験的結果を併せることにより,フラーレン融合反応はジグザグ型構造を有するチューブ状物質を経由して進行することが明らかとなった。この結果は、ナノカーボン材料中の分子の挙動を実験と理論の両側面から検証した最初の例であり基礎科学的にも工業的応用の見地からも重要な意義をもつ。
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Research Products
(4 results)