2005 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの一次元性を用いたナノレベル反応制御〜新規ナノ反応場の構築〜
Project/Area Number |
04J02212
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Research Institution | Meijo University |
Research Fellow |
湯村 尚史 名城大学, 理工学部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 密度汎関数法 / カーボンナノチューブ / 量子サイズ効果 / 端の効果 / 量子化学 / 金属内包フラーレン / 反応中間体 / 分子振動 |
Research Abstract |
本研究課題における実績は以下のとおりである. (I)チューブ状物質の振動構造 カーボンナノチューブ内部のC_<60>分子は,真空加熱によりチューブ状物質に転換することが知られている.このチューブ状物質は,カーボンナノチューブ内部でのみ生成する特異な物質であり,その振動構造の知見を得ることは有益である.そこで,本研究ではチューブ状物質の分子振動を理論的に解析した. その結果,有限長チューブは,中間振動数領域(750-800cm^<-1>)に,C_<60>半球に由来した振動モードを有することが明らかになった.アームチェア(ジグザグ)型チューブにおける,これらの振動モードは,C_<60>分子におけるH_g(G_g)の対称性を有する振動モードに対応することから,アームチェア型及びジグザグ型チューブを判別する有益な情報を与えるものと期待される. (II)金属内包フラーレンTi_2C_<80>の構造 金属内包フラーレンTi_2C_<80>は,二つの遷移金属原子をフラーレンケージに取り込んだ特異な構造を有している.この分子構造に関して,今までに,二つのTi原子がC_<80>フラーレンケージに内包されたTi_2@C_<80>構造をとることが提案されている.しかし,この提案については,近年再検討が行われており,特に,フラーレン内部でのクラスター構造に関する詳細な知見は得られていない.そこで,本研究ではTi_2C_<80>の構造異性体のエネルギー論を,密度汎関数法を用いて議論した. その結果,Ti_2C_<80>の構造異性体のうち,C_<78>フラーレンケージにTi_2C_2クラスターが内包されたTi_2C_2@C_<78>構造が最安定構造であることが明らかになった.さらに内包されるTi_2C_2クラスターには,フラーレン内部でのTi原子の配位サイトの違いにより,少なくとも二種類の結合様式が存在することが分かった. 以上の結果はすべて公表済みである.
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Research Products
(3 results)