2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの一次元性を用いたナノレベル反応制御〜新規ナノ反応場の構築〜
Project/Area Number |
04J02212
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Research Institution | Meijo University |
Research Fellow |
湯村 尚史 名城大学, 理工学部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 制限されたナノ空間 / 密度汎関数法 / 量子化学 / 軌道相互作用 / ナノチューブ / ホスト・ゲスト材料 / 位置選択性 / 構造有機化学 |
Research Abstract |
欠陥フラーレン(C_1-C_<59>)とナノチューブ内壁との共有結合生成が、どのようにナノチューブ構造の変形に寄与するかを密度汎関数法計算により検討した。その結果、ゲストとホストとの間に共有結合を生成することにより、結合部位近傍のナノチューブ表面にブタジエン型およびキノノイド型の変形が生じることが分かった。これらの結果は、内包分子の構造変形を用いて、ナノチューブ表面にsp^2骨格を保った状態で局所変形を生成させることを示した例である。 また、ナノチューブ内壁と内包分子との結合生成において、ナノチューブ内部の制限された空間がどのように影響するかを検討した。実際には、内包分子として、ナノチューブ内部空間に対して比較的サイズの大きいC_1-C_<59>欠陥フラーレンと比較的サイズの小さいカルベン分子(CH_2)を選択し、アームチェアチューブに対する内包分子の位置選択性を検討した。その結果、欠陥フラーレンC_1-C_<59>がアームチェアチューブ内壁に結合する場合、ナノチューブ軸に対して垂直なC-C結合に結合しやすいものの、カルベン分子の場合、位置選択性を示さないことが分かった。これらの違いは、ナノチューブと欠陥フラーレンの弱い相互作用に由来する。 さらに、ナノチューブ表面の局所変形が化学修飾分子カルベンの結合部位に影響を及ぼすかについても検討した。その結果、カルベン分子は、二重結合性の増加したC-C結合に結合した場合、他のC-C結合に結合する場合よりもエネルギー的に有利であることが分かった。二重結合性の増加するC-C結合は、内包カルベン分子とナノチューブ内壁との結合部位近傍のみに存在する。従って、カルベン分子によるナノチューブ化学修飾における結合部位は、ナノチューブの局所変形を用いて制御可能であることを見いだした。
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Research Products
(6 results)