2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J02256
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Research Fellow |
長谷川 拓也 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海洋表層貯熱量 / エルニーニョ / 長周期変動 / 大気海洋相互作用 / 太平洋 |
Research Abstract |
本研究の2年目にあたる今年度は、以下における項目について研究を進め、結果について学会および論文において発表を行った。 (1)エルニーニョ/南方振動現象(ENSO)に関係した表層貯熱量の変動特性 観測された表層貯熱量の振る舞いについて解析した結果、ENSO仮説の一つであるrecharge oscillator modelの特徴を良く示すエルニーニョと特徴が一致しないエルニーニョの2種類に分類されることを示した。さらに前者は後者に比べて、エルニーニョの振幅が大きく、持続期間が長いことが明らかになった。また、このようなエルニーニョの変調と南太平洋の風応力偏差場の振る舞いが関係することを指摘した。 (2)10年スケールおよび数十年スケールにおける表層貯熱量の変動特性 初年度に引き続き観測された太平洋熱帯域の10年スケール変動の解析を行い、太平洋赤道域の表層貯熱量が、南太平洋の風応力偏差と関係するスベルドラップ輸送によっても影響を受ける結果を得た。さらに、気象研究所が開発した海洋大循環モデル結果の解析から、北太平洋と南太平洋が赤道域に与える影響の違いについて解析を行った。また、北太平洋中緯度域における数十年スケール変動の解析を行い、表層貯熱量や黒潮流量、亜熱帯モード水のコア水温とアリューシャン低気圧の関係について、観測データおよび大循環モデル結果を用いて調べた。 (3)ENSOと10年スケール変動の関係 初年度に行った基礎的な解析をさらに進めた結果、10年スケールにおいて海面水温が東部赤道太平洋で正偏差を示す期間と負偏差を示す期間において、ENSOの発生頻度や振幅などの特徴が異なることを示した。一般に良く知られている気候ジャンプ(レジームシフト)とENSOの関係ではなく、太平洋熱帯域における10年スケールとENSOの関係に着目した点が独創的であり、ENSO変調の理解に寄与する結果である。
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Research Products
(2 results)