2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホシササノハベラをモデルとした魚類の性転換の生理・分子機構の解明
Project/Area Number |
04J02290
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
太田 耕平 基礎生物学研究所, 生殖生物学研究部門, 特別研究員(SPD)
|
Keywords | 魚類生殖 / 性転換 / 性ステロイドホルモン |
Research Abstract |
性転換現象は脊椎動物の中では魚類に特に多くみられる現象で、その生理メカニズムを明らかにすることは雌雄の配偶子形成機構の理解にとどまらず、脊椎動物における性の維持・調節や魚類にみられる性の多様性についての認識を著しく進展させるものと考えられる。これまでにホシササノハベラをモデル動物として、性ステロイドホルモンについての解析を行い、1)性転換に伴いステロイド合成系がアンドロゲン(11-ketotestosterone)合成とエストロゲン(estradiol-17β)合成の間で著しく変化(ステロイド合成系のシフト)すること、2)生体内へのアンドロゲン投与により雌から雄へ、エストロゲン投与により雄から雌へ性転換が誘導されること、3)ステロイド合成系のシフトは、卵巣型aromatase(P450aromA)、17β-hydroxysteroid dehydrogenase(17β-HSD)および11β-hydroxylase(P45011β)の遺伝子発現により調節されていること、を明らかにしている。昨年度は、性転換のメカニズムを細胞レベルで明らかにすることを目的として、本種の生殖腺を用いた器官培養系を確立し、in vitroにおいてもアンドロゲンを用いて卵巣から精巣へ転換させることに成功した。また、この転換の際には発達した卵母細胞は細胞死するのに対し、減数分裂前の卵原細胞(あるいは生殖原細胞)は残ることから、これが卵子と精子の元となる幹細胞として機能していることが示唆された。一方、ステロイド合成系のシフトを上位で制御する因子についても解析を行い、脳下垂体で分泌される生殖腺刺激ホルモン(GtH)の遺伝子発現パターンが雌雄で異なることを明らかにしている。今後、このGtHの分泌パターンとステロイド合成系のシフトとの関係を、今回確立した器官培養系を用いて明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(2 results)