2004 Fiscal Year Annual Research Report
尾索類の運動を制御する基本神経回路に関する系統比較研究
Project/Area Number |
04J02291
|
Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
西野 敦雄 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 日本学術振興会特別研究員(PD)
|
Keywords | 尾索動物 / オタマジャクシ / 遊泳運動 / 運動生理 |
Research Abstract |
尾索動物オタマジャクシ、すなわちホヤ類の幼生および尾虫類(オタマボヤ類)は高度に制御された遊泳運動を行う。それらの筋肉細胞数はそれぞれ約40及び20、その活動を制御する運動神経細胞数も10個程度であると見積もられ、脊椎動物に比べ極端に単純なシステムで高度な運動を制御しているといえる。本研究はカタユウレイボヤ幼生およびオタマボヤを材料として個体レベルの運動能力を正確に定め、またそれを支える生理学的・分子生物学的基盤を明らかにすることを目的としている。 (1)ホヤ幼生およびオタマボヤ類の自発的な運動および刺激に対する反応を、高速度カメラ撮影を介した画像解析と、吸引電極を用いた細胞外電気記録とにより解析した。その結果、ホヤ幼生は16.4±4.3Hzで蛇行運動すること、成長にともなった運動周波数の上昇、推進の効率化が観察されることを示した。オタマボヤ類は100Hzに達する高速遊泳運動の他、複数の運動モードを備えていることを示し、各運動パターンに関する定量的な解析を行った。現在も引き続き解析を行っている。 (2)ホヤ幼生筋肉の細胞内電気記録法を確立した。それにより、筋肉細胞は刺激に応じた様々なレベルの活動電位を出す能力がある(all-or-noneな活動電位ではない)ことが示唆された。このことは運動を担う各細胞の活動が微妙に制御されることを示している。この機能は、筋細胞数が少なく、脊椎動物のように白筋や赤筋といった多様な筋細胞種も持たないホヤ幼生が、状況に応じた運動を行う上で重要な生理機能であると考えられる。 (3)ホヤ幼生の運動ユニットの活動制御を担う分子基盤を明らかにするため、様々な電位感受性チャンネルとリガンド活性化型チャンネル転写物の発現を調べている。
|