2004 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴ラマン分光法を用いたアレンオキサイド合成酵素の反応機構の解明
Project/Area Number |
04J02309
|
Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Research Fellow |
當舎 武彦 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | アレンオキサイド合成酵素 / 共鳴ラマン / カタラーゼ / チトクロムP450 / アロマターゼ / 金属錯体 / 低温ラマン測定 / ヘム |
Research Abstract |
本年度は、当初の計画に従い、珊瑚由来アレンオキサイド合成酵素(cAOS)の発現・精製系の確立、さらにはcAOSの吸収帯に対応する励起光を利用した共鳴ラマン測定を行った。結果、高純度でcAOSを得ることに成功し、共鳴ラマン測定からは、cAOS活性部位であるヘム近傍の構造を明らかにすることができた。また、cAOSと類似の構造をもつものの、その酵素活性が異なるカタラーゼに関しても共鳴ラマン測定を行い、cAOSの結果と比較することで、両者の酵素がなぜ異なる酵素活性を有するのか提案することができた。これらの結果は、昨年12月に京都で行われた日本生物物理学会においてポスター発表を行った。本結果に関しては、現在投稿論文としても準備中であり、来年度に開催される生物無機化学の国際学会で発表予定である。 さらに、cAOSの反応機構を詳しく理解するために、上述の研究と並行して、変異体cAOSの作成、植物由来アレンオキサイド合成酵素(fAOS)の発現系の構築も試みている。cAOSとfAOSは類似の酵素反応を触媒するが、その構造は全く異なるものと考えられている。fAOSに関しても精製されたものが得られ、共鳴ラマン分光法によりその活性部位の構造が明らかになれば、cAOSの酵素反応機構の理解に役立つと思われる。現在、fAOSの発現系は構築中であるが、それに先立ち、fAOSと類似の構造を有するチトクロムP450(P450)類を他のグループから提供していただき、共鳴ラマン分光により活性部位の構造の詳細を検討中である。P450のラマンを用いた研究に関しても、ステロイドホルモンの合成系に存在するアロマターゼについて、興味深い結果が得られている。こちらについても、現在、投稿論文を作成中である。 また、新たな測定技術を身につけcAOSの研究に応用するために、金属錯体の測定を通じ、低温ラマン測定も精力的に行っている。
|